民法 不法行為/正当防衛 重要度B

甲は、自宅で飼育している大型のシェパードを、リードを付けないまま連れて散歩していたところ、この犬が通行人乙を見つけて駆け寄り、噛みつこうとした。乙は、とっさに近隣の丙の敷地内に逃げ込み、その際に置かれていたプランターや物置を破損させた。この場合において、乙が丙に対する損害賠償責任を免れるためには、いかなる要件を充たす必要があるか。

答え:○(正しい)
解説
模範解答:「Aの不法行為に対し、Bが自己の権利を防衛するため、やむを得ずCの自転車等を壊した。」(41字)。Bは、Cの自転車や植木鉢を壊しているから、Cに対する不法行為に基づく損害賠償責任を負うはずである(民法709条)。しかし、①他人の不法行為に対して、②自己又は第三者の権利又は法律上保護される利益を防衛するため、③やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負わない(正当防衛:720条1項)。本問では、Aが鎖を外したまま大型犬を連れていたためBに襲いかかったのであるから、動物の占有者であるAに不法行為責任が成立する(718条。同条の責任も720条1項にいう「他人の不法行為」に含まれる)。そして、720条1項の正当防衛は、不法行為者本人ではなく第三者の物に対して加害行為をした場合でも成立する点に特徴がある。したがって、Bが、自己の生命身体という権利を防衛するため(②)、やむを得ず第三者であるCの自転車等を壊した(③)のであれば、民法上の正当防衛が成立し、Cに対する損害賠償責任を負わない。
民法709条 / 民法720条1項 / 記H19-45 / R4-34-3
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