民法
不当利得 重要度B
乙は、甲所有の建物を甲から賃借するに際し、乙が甲に対し権利金を支払わない代わりに、乙が当該建物の修繕義務を負担する旨を甲との間で合意していた。その後、当該建物について修繕工事を要する事態が生じたため、乙は丙にこれを請け負わせ、丙は同工事を完了させたが、乙は丙に対して修繕代金を支払う前に無資力となった。この場合、丙は、甲に対し、不当利得を理由として修繕代金相当額の返還を請求することはできない。
答え:○(正しい)
解説
建物の所有者Bが、修繕工事に投じられた財産および労務の提供に相当する利益を法律上の原因なく取得したといえるのは、BC間の賃貸借契約を全体として捉え、Bがその利益を対価関係なしに享受した場合に限定される(最判平7.9.19)。本件のBC間の建物賃貸借契約では、Cが権利金をBに交付しないこととの引き換えに、Cが家屋の修繕義務を引き受ける旨が定められている以上、BC間の賃貸借契約を全体として見たときに、Bが対価関係なくして当該利益を得たということはできない。 民法703条 / 最判平7.9.19